こんにちは!てりーです!
今日は雑談ですが、お気に入りの陶器をなんちゃって修復した話を備忘録として残します。
人生を豊かに楽しく生きるのに、お気に入りのものを長く大切に使うということが私には関係してきます。
とはいえ修復にかかる費用と時間が新品購入を上回るのであれば考えもの。
直すか、買い替えか。この分水嶺の軸も合わせて記録を残します。
事件はティーポットの取っ手から始まった…
そう、ことの発端は取っ手なんです。しかもコップじゃなくて、ティーポット。
取っ手だけポキッと本体から分離してくれるだけなら良いのですが、ちょっとした粉砕骨折です。
この破片はどこからどんな感じでやってきたのか、見た目だけでは皆目見当もつきません…。
紅茶ヘビードリンカーなのでティーポットは人生で必須。でも好みじゃないデザインのティーポットはノーセンキューというわがまま。
写真と同じティーポットを買えばよいのはわかるのですが、なんと廃盤。
フリマで流通してもすぐに売り切れる人気のシリーズです。
一応調べたら送料込みで1~2万円弱。ううん、お直しも調べてみます。
金継ぎによる修理は1万弱、期間は2ヶ月くらい。
なお金継ぎで修理しても一番負荷がかかるのは取っ手みたいで、ずっと使えるとは限らないみたいです。延命治療ですね。
今回修理の検討をした際に、ティーポットの容量を調べたところ、600MLのペットボトル1本分以上ありました。
これは持ち運び、注ぎの際に取っ手にとても負荷がかかりそう。仮に修理しても壊れる前と同じレベルでは使えなさそうです。
自分で金継ぎして直すにも、金継ぎ初心者キットや必要なものを揃えていたら1万弱。
うううん、どれも似たような金額です。
と、ここでマグカップの取っ手を自分で修復した方の記事を発見。どうやら陶器用の接着剤で取っ手を直したら1年以上、フツーに使えていると。
お、そんな事例もあるのなら、DIYで修復して、それでもだめになったら買い換えよう、と決意しました。
どうやらもっと調べていくと、陶器用の接着剤にはエキシポ系接着剤が良いと。
エキシポ樹脂系にも種類があって、硬化時間が長いほど高強度らしい。
そして金継ぎで使われる漆と合成接着剤(エキシポ系)の違いは、湿度や温度に柔軟かどうか。
天然の接着剤である漆のほうが湿度・温度の幅が広く、アジアの気候には適しているらしいです。
その分かぶれやすいという扱いも難しいのが難点。
なお、大前提としてエキシポ系接着剤は飲み物を入れる内側や口を付ける部分、注ぎ口などにはつけてはいけません。どの販売元も商品説明でもしっかり記載されています。
液体や皮フが触れるところは漆一択です。ご留意を。
ふむふむ。手軽さと入手のしやすさ、失敗しても痛くない金額面を考慮して陶器用の接着剤で修復を試みます!
さてさて準備するものはこちら
・エキシポ系の接着剤
・ゴム手袋かビニールの使い捨て手袋(洗えばOKタイプはなくても大丈夫かも)
・壊れた陶器本体
・破片、できるだけすべて
・ピンセット
・ポットを固定する何か(布でも本でも専用のものでも。転がらないように)
・マスキングテープ
・時間の余裕(おおよそ硬化時間の2倍、これが一番重要では…?)
この中でも陶器を固定する何かをあらかじめ探して試しておくと作業も硬化タイムも楽ちんです。
特にティーポットは注ぎ口が長く、コップよりも丸くて不安定です。
また硬化と接着時間では、手で押さえなくてもはずれないように、重力で破損部分がくっつくような格好でおいておくことが肝要です。
案外重力は侮れません。接着した破片が重力にしたがって下に外れそうになることがありました。
ちなみに私は色々試した結果、買って3割ほど使ったビニールテープが役に立ちました。
横のテープのところに粘性があって固定しやすいですし、芯の直径がティーポットのサイズにぴったりでした。笑
まさか意外なものがとても役に立つんですね。ひらめき力ってダイジ。
では準備ができたところで修繕していきますよ!
DIY修理の流れ
準備物を用意する、作業スペースの確保
料理のように準備物を使いやすいところに配備していきます。
作業スペースも広めに確保していきますよ。個人的には新聞の半面くらいの広さはほしいところ。
あと作業スペースのグラつきがないことを確認してください。
小さい振動でも破片の接着がズレて修復に失敗する可能性があります。
破片のパズルを解く、色んなシミュレーションをしておく
接合する前に破片のパズルを解いておきましょう。
そしてどの順番でくっつけていけばズレやミスなく接着していけるかシミュレーションしていきましょう。
必要であれば作業工程を複数時いつに分けて確実に接合していきましょう。
特に破片が複数、小さくたくさんある場合は一回での作業では完了しないことが多いです。もしくは強度が足りない場合がります。
またこのシミュレーションの時点で破片以外にヒビがないか、確認しておきましょう。
なお壊れた部分が外側としても内側にヒビがないか、今一度確認しておきましょう。
内側にあったらどんなに外側を修復しても漏れてきますからね。
ちなみに今回、取っ手の下部にヒビを発見したのこちらも接着剤を上から塗っていきます。
内側にまではヒビが及んでいないので、このままエキシポ系接着剤で修復を進めます。
なお、マスキングテープで固定したい方はここで使う長さと量のテープを準備しておきます。
接着剤を作っていく
今回買った接着剤はこちら。
塗ってから90分後に硬化開始、固定に10時間かかり、実用強度の担保には約10時間かかるものです。
硬化と固定に時間がかかるものほど強度が大きいらしい。
製品説明のとおり、2液を混ぜていきます。
片方は薄い黄色、片方は無色です。混ぜていると色が消えたので、混ぜムラがないか確認しやすいです。
それぞれの接着剤のキャップを間違えて閉めないように、注意してくださいね。
破片を接着していく
さて本丸の修復作業です。
ティーポット本体をビニールテープ台(今回の作業台)に置きます。
シミュレーションした通りに接着剤を塗って、ピンセットを使いながら破片パズルを解いていきます。
時々ズレたり接着が弱くて落ちたりします。
硬化まで時間がかかるタイプなら焦らず、接着剤をふたたび塗布して貼り合わせていきます。
今回は一度ですべての破片を接着します。接着が完了したら継ぎ合わせた面に対して各方面から手で押さえていきます。
ここで力を加える方向と力加減をミスしちゃうと、手を話した瞬間に接合面の間に隙間ができるので慎重に。
そして硬化が始まるまで2,3分は押さえたままキープします。
面倒くさがりなので扇風機を回して硬化の時間を早めました。笑
マスキングテープで固定できるのであれば、隙間が埋まったことを確認して固定していきます。
もちろん重力と力が加わる方向、力加減を加味して固定してくださいね。
硬化開始まで近くで様子見
製品説明の硬化開始時間までは近くで様子見しましょう。
今回使った接着剤の硬化時間は90分です。
作業スペースに振動を加えないように、近くに待機して修復がうまく行っていることを時々確認します。
接着時間が過ぎた頃の状況を確認
接着時間10時間が過ぎました。
接着剤のところを触ってみるとくっついてきません。
修復したつなぎ目もよーく見ないとわからないほど接合しているみたいです。やった!
そのまま固定台に放置して今日は安静にしておきます。翌日、紅茶を入れてみようと思います!
修復後、実際に使ってみる
修復作業から24時間以上経ちました。
さて実際に紅茶を淹れてみます。
ちょっと怖いのでキッチンからデスクまでの運搬はお盆に載せました。
さてティーポットを持ち上げて紅茶を注ぎます。
特に不安定さも接合部の裂けの拡大も見られません。
熱による接着剤の溶けもなさそう。今日は美味しく紅茶を飲みました。
さらに食洗機にかけて使ってみる
きっと望ましく行為のひとつ。洗うのが面倒で食洗機にかけて洗いました、修復したティーポット。
お湯で修復部を洗うことは接着剤の性質上、よろしくない気がする。それでも食洗機にかけちゃった☆(ものぐさ)
さて食洗機から1日経ったティーポットはこちら。
修復後と比べて取っ手上部の接合部のヒビ?面が少し離れているような気がします。
洗ったからか、それとも気温と湿度で接着剤に影響があったのか接着剤の厚みが薄くなったような気がします。
取っ手下部は特に問題なさそうです。
まあそれでも使ってみます。
キッチンからデスクまでの運搬は相変わらずお盆に載せます。
いざ注がん!…特に不安定さや接合部のヒビが大きくなることはなさそうです。
ですが、修復後1日目と食洗機後の2日目を観察して、使い続けると接合面のヒビは大きくなり、いずれ壊れて使えなくなるのだろうというのがわかります。いつかはわかりませんが。
今は不安なく使えているので、壊れるまでは修復したティーポットを使って紅茶タイムを楽しもうと思います。
壊れてしまったら…修復はしないで新調します。
にしても最近の接着剤レベルはすごいですね。技術力の高さを実感しました。自分のDIYレベルも高くなった気がします。
またノリタケの製品レベルの高さも体感しました。取っ手と本体って別で作って、焼成の前にくっつけているんですよ。なのに使っていても壊れない。
ノリタケミュージアムで学んだ知識です。楽しく学びながら歴代の製品も見ることができます。
接着剤にせよ陶器にせよ企業努力と品質管理のすばらしさを思い知った出来事でした。
ではまた、別の記事でお会いしましょう!てりーでした!